<2005.11.15〜> 出猟日記 2005

(始めに)
現代社会 その中でも山村においての移ろいは
価値観に一律化を産み落したのか 特定野生獣の
増殖等にあたっては 既に猶予成らざる事態と捕え
動き始めたかの様で・・・
実態を目の当たりにする 我等とは若干距離の有る
行政による変節は この国未来図を 今からどんな
色で描き飾ろうとするのだろう。

                          oozeki
<2005.11.19〜20>晴れ
このシーズンスタートは オフの駆除圧により 五十余頭の間引きが行われた 狩山周辺の見極め
生息状況確認が 必要と成って居た 最近民家近くまで夜間徘徊 出没が多発する事で 姿痕跡が
住民の目に付き易く より以上の目撃情報に現実を計り間違いかねない? 人間社会との係りが増え
それによるのか 野生獣の無垢さが失われ始めたのは間違い無い 大きな流れとして鹿は確実に増え
その鹿との勢力争い 縄張り争いに敗れたか めっきり姿を見なくなった猪 此処数年盛んとなった
餌付け箱檻による大量捕獲は 確実に個体数を減らし 出足や稼ぎ跡すら見当たらない
さて 狩山の今であるが 季節の緩やかな足取りは 木々の葉は元より下草も生茂り 見通しはまるで
効かない 矢先の不安は拭いきれず やはり地味な幕開けと成ってしまった それにしても如何した事か
モミジも青々としたまま 色づく事さえ無く落ち去るのを待つのか?

<2005.11.27>晴れ後雨
下段を行く勢子と二人 この広大な狩山 何とか手薄な(人員の少ない)守備ライン向け モノを誘導
時間をかけ追い込んで来た 山々はこの奥地でも未だ落葉も進まず見通しは悪い 逃走ルートさえも
纏まらず 想定以外の場所を抜けて尾根越えしたりしている? 二時間ばかり掛け 尾根筋に待ちを
構える射手と落ち合う 中段を横駈けする勢子も その先の待ち場と連絡を取り出し 此方向け登り出し
始めた様だ・・・。  太目の木の根に身を投げ出し 水分の補給と腹ごしらえに 握り飯を口に咥えた
#%$☆?? 変った鳴き方で今狩り終わった先の尾根から 鹿の1群れが廻り込むのが窺えた?
おそらくは脚下守備ラインの一段下に有る 滝の頭を越えた群れなのだろう この位置へ向う気がする
”来そうだな?”姿を現すだろう 尾根先一点をを凝視! ・・・・幾らかの時間の経過・・・・  ”来た!” 
十数歩離れた待ち場の射手に手で ”動くな”の合図 銃を小脇に銃口は其方へと  真っ黒な影が
立ち木スクリーンの向こうにチラチラ? 正体はまだ判らない? しかし何とした事か 制止した筈の
待ち場が 此方向け駆け寄りだしてるではないか! どうも”動くな”を”来い”と勘違いしたようだ??
案の定其処で奴等は止まってしまった 逃走ルートの変更に迷って居るのだろう? 立ち木の向こう
僅かな空間に白い尻が見えた ”鹿!” 其れは向きを変え南の斜面に超えて行く事を意味してる
すかさず発砲 180グレィンソフトポイント弾は 木枝に触れず直進すれば 標的向け突き進んだ筈
一瞬姿を隠したが 奴等は撃ち込まれた方向を判断出来なかったらしく 此方側斜面の低みを駆け下る
其処で初めて三頭の牡鹿を確認 1〜2秒の間だが傍らの待ち場も発砲 視界から消える 最後尾の
動きが被弾を表し確認に入った 落ち葉の上に残る目印は点々と結果の道標として指し示す・・・・
この急斜面を 何処まで落ちて行ったのだろう? 左に振れば手も出せないトヨ上の長く高い滝が有る
右に振れば 下の広川原まで行ってしまうか? 雲の動きは予報道理 急速な崩れを運びそうだ

雨雨雨雪の日々
吹き上げる氷雨は 合羽に包まれた身体を激しく叩き出した 眼下に広がる山塊は 思いもしない
激変にうろたえ戸惑う 紅を残した温もりは水蒸気と化し谷間から立ち上り まるで山火事でも
起きたかの姿で上昇気流に運ばれ上空へ いつしか澱となり雲海は脚下を埋め尽くした 目の前で
演じられたスペクタクルは 自身が何をしようが小さき存在と 思い知らせる

2月 2.30%の残雪と成ったが まだ此れ位有る
<2006.1.9〜> 天候は不安定残雪は多い
昨年12月の大雪は 此処一月もの間出猟も侭成らなかった 痺れを切らし1月9日 白い壁に向った
車は集落から奥へは少しも進めず 自分達の駐車スペースを作る事から始まった 林道の状態は
雨が降った事もあり 目に見えて改善積雪量は落ちた しかしザラメ状となった雪は 表層が凍り
寝雪となって残る 昼過ぎ気温が上がった日などは 踏み抜き抜け出す事に難渋 自分の身体が
思うに任せぬ苛立たしさに駆られる 地元の古老さえ終ぞ覚えが無いというこの豪雪 例年は奥の
山深く過すのだろう鹿が 大きな群れを成しては集落近くの麓を徘徊しだす 環境が苛酷な奥地へは
戻りたくない そんな思いが感じ取れ 持ち場の決定がし易く順調に成果を上げていった・・・・・。
この界隈で 中々ワリを見せなかった猪も盛りが付き始めたとみえ 痕跡を残し出し期待は膨らむ
しかし我々のもっとも得意とする奥山には 等々最後まで入れない結果と成って 消化不良気味の
侭でシーズンを終える事となる  

<挑みつづけた雪中での苦闘は 又場所を改め書いてみたいと思います。>

<猟期を終えて>
"居る々? 大きな群れで並んで行くぞ” 初めて目にしただろう白い壁に 多くの野生獣は麓に向かい
集落近くの出尾根へ群れていた 思いもかけない豪雪に 人の無力さ非力さを改めて思い知らされる
猟期ではあった なんと人間の脆弱でちっぽけな事か。